さて、みんなは普段の買い物でどんな支払い方法を使っているだろうか。現代はキャッシュレス化が進んでおり、現金以外にも、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、様々な支払い方法が普及している。今日の記事は、単純な買い物時のトラブルの話ではない。生きる上でのリスク管理や知恵も関わる話である。それではスタートだ。
ここはとある町にあるスポーツ用品店。それなりに大きな店で、いつも多くのお客さんが訪れる。このお店は、現金、クレジットカード、一部のQRコード・バーコード決済の支払い方法に対応している。しかしある日の昼間、QRコードとバーコード決済の端末機が故障してしまった。店長は機械と格闘しながら、メーカーにも電話で問い合わせをして対応をしていた。その間店員は、現在決済端末機が故障で、現金とクレジットカードのみの支払いが可能である説明をレジに来たお客に行っていた。
そこへ50代と思われる男性客が来店して、商品をレジまで持ってきた。店員が機械の故障と支払い方法の説明をすると、男性客は眉間にしわを寄せて怒り出した。
「はあ?何で楽天Payが使えねーんだよ。この支払方法ができるって知ってるから俺はこの店に来たんだよ。使えるように何とかしろよ」
機械の故障ですぐにはできないことをいくら丁寧に説明しても、男性客は聞く耳を持たない。さらにこの男性客は、現金を今持っていないようだ。しかもこの買い物をした後、友人と食事に行く約束があるという。店長は機械メーカーのカスタマーセンターとの電話をしながら、何とかすぐ決済機が使えるよう奮闘しているが、すぐ復旧するのは難しく、時間は刻々と過ぎていく。
その間、ずっと男性客は文句を言い続けていた。その文句の内容は主に以下の通りだ。
「時間がかかり過ぎだ。いつまで待たせるんだ」
「使えるはずの支払い方法ができないのは店の怠慢じゃないか」
「今はキャッシュレスの時代なんだ。すぐ楽天Payを使えるようにしろ」
「楽天Pay以外では払いたくない。ポイントが付かないから」
埒が明かないので、店長は男性客にとある提案をした。その提案とは、お店の入金用の口座番号を教えて、商品代金を後日そこに振り込んでもらうという方法である。同時に男性客の連絡先も聞いておく形だ。しかし、男性客はこの提案も拒否。
「それだと俺が金を払わず泥棒したみたいな気がするから嫌だ」
「振込が手間だし、振込手数料はどっちが負担するんだ」
「連絡先も教えたくない」
このような理由だ。
全く解決の糸口が見えないかと思われたが、約30分が経過した頃、男性客の友人がこのお店に来店。男性客が待ち合わせ場所に来るのが遅いので、ここに足を運びに来たのだ。男性客の友人は事情を聞くと、「僕が払っときますよ」と言い、男性客の代わりに現金で商品代を支払った。なお、商品代金は1600円程である。男性客は「すげー時間ムダにした。こっちが損害喰らって保障問題になってもおかしくねーよ。第三者にまで迷惑かけやがって」と言い、店から出ていった。
なお、この約30分の間、他のお客も数人買い物のためにレジに並びに来た。そのお客は全員、機械の故障でQRコードとバーコード決済ができない旨を聞くと、全く怒ることなく、現金かクレジットカードで支払いを済ませていた。そして傍らで騒いでいる男性客を冷ややかな目で見ながら店を後にしていた。
さて、このエピソードを読んでみんなはどう思っただろうか。おそらく、日本中で似たような出来事はよく起こっていることだろう。
まずいくつかざっとポイントを挙げてみよう。まず、この男性客の態度はカスハラであることは明確である。さらに、買い物という行為は法的な契約が成立しているが、明文化している支払い方法が機械の故障などでやむを得ず提供できない場合は、お店側は事情を丁寧に説明する義務はあるが、契約不履行ということにはならないといえる。現金以外に複数の支払い方法を用意するのは、いわばお店側のサービスとも言えるもので、数種類の支払い方法を提供しなければならない法律は存在しないからだ。
さらに違う視点で捉えてみよう。
この男性客は、「ケチ」「みみっちい」客観的に見て、こんな印象になる。1600円というそれほど高額とはいえない商品購入でダダをこね、「他だとポイントが付かないから絶対楽天Payで払いたい」と言い、口座に入金する提案に対する振込手数料負担もケチる態度を見せている。このブログでよく取り上げるテーマの婚活では、婚活女性が都合よく男性に「ケチ」「甲斐性なし」などと言う場面はよくあるが、この男性客は間違いなく「ケチ」「甲斐性なし」と言われても仕方がない。
おまけに、たかが一つの商品の支払いで、約30分も時間をムダにしている。その間他のお客は、QRコードとバーコード決済ができなくても、他の支払い方法でスムーズに店を後にしている。傍から見れば滑稽で、時間管理能力の低いバカにしか見えないだろう。
次に、このエピソードで最も中核となる点を挙げる。
それは、『リスク管理の重要性』『人間が作った物は万能ではない』ことだ。
現代は、キャッシュレスが進んでいるのは事実だ。しかし、それらはあくまでも、人間が作った機械で管理しているわけで、いつでも故障が起こり得る可能性はある。実際、あらゆる支払い方法や銀行のATMに至るまで、度々システム障害は世の中で起こっている。
リスクマネジメントの観点では、“リスクの分散”はごく基本だ。この男性客は楽天Payが使えなかった場合の支払い方法(リスクマネジメント)を何も用意していない状態である。しかも、スポーツ用品店の買い物の後に友人と食事に行くという予定でありながらだ。食事の店でもし楽天Payが使えなかったら?また、急遽食事に行く店が変更になったり、急遽食事後に別のお店に行くことになったり、急遽体調を崩して救急車で病院にかかる可能性だってある。(病院はキャッシュレス対応がまだあまり進んでおらず、現金持参が基本だ)そういう所にまで頭が回っていない。
世の中の多数の人は買い物の際、スマホやカード以外に現金も持ち歩いているが、それでも今は、ある程度お金がかかる外出でも現金を一切持ち歩かない人も増えているという。
このエピソードは、人間社会が便利になり、複雑化した表れでもある。そして、“人間が作ったものは、万能ではない”のである。機械、車、建物、何でもそうだ。人間全ての行いは、何事も過信してはならない。過信からは必ず隙が生まれ、結局それは自分に跳ね返ってくる。
(作・イキルちえ)
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