生きる知恵

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サービス業のエピソードその1(男らしさ、女らしさに対する思い込み)

 さて、みんなはサービス業の仕事を経験したことがあるだろうか。何らかのサービスを提供する仕事、実に多種多様な仕事があるが、これはあるサービス業の一つの実例だ。なお、内容としては、特別珍しいものではない。サービス業を経験している人なら、同じような経験をしている人はそれなりに多くいるはずである。自分がこのエピソードの人物になったと思って読み進めてみてくれ。

 

 あなたは接客を伴うある仕事をしている。あなたは30歳の女性で、この仕事は5年目である。仕事は日々順調で楽しくやっている。あなたの外見は、髪の毛は短く、胸は小さめ、服装は女性らしいものではなく、いわばボーイッシュな見た目である。

 ある仕事の日のこと。その日のあるお客(年配の男性)から、あなたは初対面でいきなりこう言われた。

「あんた男?」

 あなたは、自分が女性であることを伝える。

「えー?ホントかよ」

 そしていつも通り接客業務を進め、業務は問題なく終了し、このお客が帰る間際にあなたにこう言った。

「やっぱりあんた男に見えるよ。でも、胸がもう少し大きけりゃそれなりにいいかな。そんじゃね」

 

 さて、冷静にこの人物になった上で読み進められただろうか。あなたは、この女性と似たような経験をしたことがあるだろうか。この年配男性のお客と同じような態度を、サービスを提供する人にしたことがあるだろうか。この年配男性の言動を見て、どう思っただろうか。

 中核となる結論を先に言おう。このお客である年配男性の言動はクズそのものである。サービスを提供していたあなたはコイツをぶっ飛ばしていい。(これは比喩であって、実際にぶっ飛ばして良いという意味ではないことは賢明な読者のあなたならおわかりだろう)そして、この女性と同じような経験をしたことがあるなら、あなたは何も悪くない。

 なぜクズなのか、それは、性別が関わる人間の特徴をあげつらうと人が不快になることを理解していないからである。こういうことを言ってはいけないというのは、きちんと教育を受けた小学生でも充分に理解することが可能だ。つまりこの年配男性の人への接し方は、小学生以下だといえる。また、[女性=髪の毛は長い、胸は大きい、女性らしい服装]という固定観念の強さも垣間見える。人はそれぞれに個性がある。男性であっても女性らしい特徴を有する人もいるし、女性であっても男性らしい特徴を有する人もいる。

 最後に、なぜこの話を取り上げたのかの理由を述べよう。一つは、このような年配男性は珍しくはなく、かなりの数そこら中にいるという事実である。年配者は年下の模範とならなければならないのに、これはかなり残念な事実である。そしてこのエピソードには、「サービス業従事者に対しては、お客は神様だから何でも言っていい」という構図がある。日本のサービス業の質の高さは世界でも有数だが、過剰であることも近年指摘されている。

 この先サービス業がどのような変遷を遂げるのかはわからないが、このエピソードの年配男性のような人間にはなってはならない。それは明らかだろう。

(作・イキルちえ)

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