さて、みんなは、高い能力を身に付けて、目立つようなイキイキとした場所で活躍したいだろうか。今日の記事は、いつも通り誰でも楽しめるよう作成しているものではあるが、作者のオレとしては、子どもから20代の若い年代の人に特に強く伝えたい内容である。なぜなら、若いうちは誰でも、優れた能力や華やかな舞台に憧れるものだが、その裏側の事情や苦労というものはどうしても、知って理解するまでに時間がかかるからだ。
何でもすぐに100%知る必要はないのだが、それでも早いうちから知っておいた方が良いことはたくさんある。今日はそれを紹介しよう。もちろん、子どもや20代の人だけでなく、30代以上の読者の方も気軽に読んでくれ。
世の中は、それぞれに自分の能力、境遇、苦労、価値観を携えて多くの人が生きている。おおざっぱに考えて、その多数の人達の多くは、どんな所に集まりやすいとみんなは思うだろうか。
それは、『能力が高くて目立つ人』の所である。人は不思議と、自然にそういう人の所に集まりやすいのだ。
では、なぜそうなるのか。世の中の多数の人は、「解決したい悩みや課題」を何かしら持っているものであり、そういう悩みや課題を解決してくれそうな人の所に、まるで磁石のように吸い寄せられてしまうのだ。
そこで、3つエピソードを紹介する。これは、社会のあらゆる場でよく起こっている出来事の典型だ。
・エピソード1
とある恋愛相談で人気のYouTuberの動画に、こんなコメントが付いた。
「初めまして。自分は31歳男です。職場で年上の(35歳)気になる女性が居るのですが、最近まで職場での雑談、仕事上の会話中何度かは目を見て会話してくれていましたが、最近手元ばかりで、全然目が合いません、嫌われてしまったのでしょうか。相手の性格はミステリアスで人見知りです。職場は40代から50代の女性が多いです。LINEの頻度は週一程度で、リアクションはいつもと変わらずなので余計に混乱しています。アドバイスお願いします」
・エピソード2
34歳のA子は、幼稚園に通う5歳の子どもがいる。ある日、その幼稚園と繋がりを持つダンスの先生がいることを知り、その先生は幅広い知識と優しい人柄で、お母さん達の悩み・話を聞くのがとても上手だと聞いた。A子はその先生がいるダンス教室に電話をして、会って話がしたいとお願いした。先生は承諾してくれ、1時間程教室で話を聞いてくれた。A子はひととおりグチや悩みを話し終わると、先生に何も渡すことなくそのまま帰った。ダンスに興味があったわけではないので、ダンス教室に入会することもなかった。
・エピソード3
50歳のB子は、家庭の複雑な事情で困っていた。そしてある日、ある公共機関の無料相談窓口に足を運ぶと、親身になってくれそうな親切な担当者が対応してくれた。B子はとても困っていたため、その担当者に6時間もの間、延々と悩みを話し続け、対処方法を聞き続けた。担当者はずっと真摯に対応してくれて、B子はとても感謝の気持ちでいっぱいになった。
このエピソードを読んで、みんなはどう思っただろうか。各エピソードで起こったことを簡単にまとめよう。
エピソード1はYouTubeのコメントの場であるため、動画主が視聴者の悩み相談を受け付ける場ではない。こういう場合、動画主がコメントで助言をしてくれる場合もあるが、それは義務ではない。そういう場なのにもかかわらず、悩み相談をしたい視聴者が磁石のように吸い寄せられている。
エピソード2は、地域の中で能力があって目立つ人(ダンスの先生)の所に、悩みを持つ人(A子)が磁石のように吸い寄せられたという話だ。このダンスの先生も普段の生活、仕事がある中で1時間、初対面のA子の話を聞いてくれた。しかもA子は、ダンス教室に興味も示さず入会もしていない。ダンスの先生は内心どう思っていただろうか。
エピソード3は、公共施設の窓口なので、話をしに来たB子の対応をしている間も、給料はちゃんと支払われている。しかしそれでも、磁石に吸い寄せられるように訪れた初対面の人の話を6時間ぶっ通しで話を聞き続けるというのは、並大抵の労力ではない。午前9時から始まったとしても、終わるのは午後3時だ。昼食時間もとうに過ぎている。深刻な悩み相談だったとしても、非常識と言われても仕方がない。
これらに共通することは、「並みの人より能力が高い人、場所に人が吸い寄せられる」「無料の場に人が吸い寄せられる」ということだ。また、経営などに携わった人はよくわかると思うが、「初回無料」「無料相談」といった場を掲げて集客すると、タダだからという目的でその内容にたいして興味がない人ばかりが集まってしまうことはよくある話だ。経営視点で見ると、かえって逆効果になることが多い。
このように、エピソードで挙げたYouTuberやダンスの先生や公共施設の担当者をはじめ、能力が高くて目立つ人(場所)の多くは、こういう経験をしているのである。
それでは、対処方法につながるヒントを記載してまとめよう。これは冒頭でも述べたように、子ども達や20代の若い人に特に強く伝えておきたい。
『境界線』という言葉を意識して覚えておくことだ。
「自分はここまではできる」「これ以上はできない」
この境目が境界線だ。
人間は誰でも、高い能力を身に付けて、楽しい人生を送りたいのだ。そして、(性格ごとの個性があるのが前提だが)人より目立ちたい気持ちがあるものだ。
だから、高い能力があって目立つ人の所には、際限なく、磁石に吸い寄せられるように人が集まってしまう。しかも、付け入るようにのめり込んでくる人も数多くいる。こういう現象は、人間社会のどんな場でも起こり得るのだ。
しかし、人間の許容量は限りがある。
「自分はここまではできる」「これ以上はできない」
読者のあなたが人並み以上に高い能力を身に付けて、社会で目立つ活躍ができるようになったら、この真の意味がわかると思う。『境界線』は、人や場所と適切な距離感を保って良い人生を送るのにとても大切だ。人間は誰しも、神でもスーパーマンでもない。長所と短所と不安定さを持ちつつ、みんなで支え合い共存しているのが人間の社会である。
(作・イキルちえ)
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