生きる知恵

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男性に座ってトイレを強要するのは性暴力

 さて、みんなはトイレ(おしっこ)は立つか座るかどちらで行っているだろうか。女性の場合はほぼ100%便座に座って行っているだろう。しかし近頃、男性のトイレも座ってやるべきだという論調が増えてきている。これはある意味、男性の体の構造と性のあり方を否定する性暴力につながることだ。

 まず、“男性も座ってトイレをするべき”という意見はどこから来ているものなのかだが、国や医療機関が公式に推奨しているわけではない。多くは女性側の個人的な意見の集合体であり、そこに一部の企業などが便乗している構図となっている。

 男性に座ってトイレを勧める理由として挙げられるのは、尿の飛び跳ね汚れが減り、トイレが汚れにくくなるというのが主意見だ。なぜこの理由が前面に出るかというと、世間の一般家庭では、家事分担率が女性(母、妻etc)の方が多く、女性の方がトイレ掃除をする機会が多いという背景がある。汚れたトイレを掃除するのが嫌だから、男性にはなるべく汚れないよう使ってほしいという深層心理があるわけである。

 まずトイレの汚れについては、結論から言うと、立っても座っても汚れる場所が変わるだけで解決にはならない。立ってする場合は壁や床が汚れるが、座ってすると便座の裏が汚れる。

 そして健康上の問題についてだが、これは座って排尿をするといくつかの健康リスクがあるのが明らかになっている。

 まず、男性は体の構造が座って排尿するようにはできていない。立位で、尿道が斜め下を向いて出るようになっている。座って排尿した場合、肛門括約筋を使いにくくなり、生殖器を折り曲げなければならないことで残尿が残りやすくなる。残尿は炎症を起こし、前立腺肥大、睾丸ガン、EDなどを引き起こす可能性がある。ただし、排尿障害がある男性の場合は、座った方が膀胱からより多くの量を排尿できるという研究結果もある。

 これらを踏まえれば、排尿障害のない一般男性は、立ってトイレをする方が健康上望ましいという結論に至る。

 トイレ(排泄)というのは、体の維持のための必須機能だ。栄養のある食べ物を用意して摂取したり、寝心地良く睡眠が取れる寝室とベッドを用意するのと同じように、排泄も本人が健康を損なうことなく安心して行えるようにするのが最も大切なことだ。

 そして、これは言うまでもない当たり前のことなのだが、トイレは使えば汚れるのが当たり前である。汚れたら掃除をすればよいだけの話だ。そして、部屋や玄関などと同じように、なるべく汚さないように使えばよい。根本はこれだけの話である。

 そして、家庭内でこの問題に直面した場合は、トイレうんぬん以前に、普段からの家族関係や家事分担に問題がある側面がある。この場合は、トイレ掃除の分担の仕方や、家族同士のコミュニケーションを図ることに重点を置く方が改善につながる。

 

 この問題のもっと本質に迫ってみよう。

 体の機能を無視して、男性に「座って用を足せ」と強要・・・この事実をあなたは冷静に捉えられるだろうか。これは、男性の性に直結する問題であり、健康リスクに晒す虐待行為、性暴力と同じだ。

 さらにもう一つ、冷静に考えてみよう。

 女性が身体機能上望ましい姿勢で行うことを、「場所が汚れるから、病気になるリスクがあるけど違う姿勢でやれ」と男性や世間から強要されたらどうだろうか?

 「セクハラだ!世間からの虐待だ!病気になるとわかって強要するな!掃除すれば済む話だろ!」とあっという間に炎上するのは目に見えている。

 

 最後に。これは完全にオレの個人的な感想だ。

 近年、男性のトイレ事情を調査したものは結構出回っているのだが、『立つ派70%、座る派30%』から、『立つ派40%、座る派60%』位の調査結果になっているものが多い。ただ、実際に世間で生きて人を見ている限り、これらの調査結果は実情を正しく表していないように思う。トイレでおしっこを座ってする男性はせいぜい3%程度で、大多数(97%)は立つ派なのが正確な実情だろう。

 何はともあれ、この問題はそこまで難しい問題ではない。本人がやりやすい姿勢でトイレを済ませ、周囲に配慮した使い方を普段からすれば良いだけの話だ。本人に害がある方法を周囲が強要してはいけない。

(作・イキルちえ)

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