生きる知恵

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今、高齢者を取り巻く状況、苦しさ

 さて、みんなは今高齢者の人達がどのような心境で日々生きているか、少しでもご存じだろうか。家族や近所に高齢者がいるだろうか。現代では、どんな年代の人でもそれぞれに何らかの生きにくさや課題はあるが、高齢者ももちろんそうである。

 おおまかな風潮としては、高齢者は何かと叩かれることも少なくない。その要因はいくつかある。日本の福祉は、高齢者に手厚く、若者に厳しい。今の若者が高齢者になる時よりはるかに多い年金を今受け取って生活している。いつの時代もそうだが、「今時の若い奴は」のような、年下を卑下する発言は特に嫌われる。スーパーやコンビニや病院などで、横暴な態度を取る高齢者が度々話題になったりもする。

 確かにこれらは事実なのだが、一概に高齢者の人達を責めるわけにはいかない背景もある。正しく理解するために、まずは発達心理学の観点から、高齢者のことを端的に述べる。

 一般的に高齢者は、65歳以上の人を指す。加齢と共に健康上のリスクが増すのは誰でも共通であり、日常的に運動習慣や栄養管理を行っているかどうかで健康状態に差異が生じる。それと共に、65歳前後は、自らの子どもが結婚などで完全に独り立ちして間もない頃でもある。同時に自らの親も生存していてその世話に追われている場合もあったり、現在の平均寿命から鑑みて、自らの親が亡くなる時期もこの頃に重なる場合が多い。つまり、自らの家族環境に著しく変化が起こりやすく、その度に生活環境、価値観、同居家族との関係性を修正することが求められる。これらの変化にも、これまで培った知識と経験にて多くの高齢者は何とか対応していく。その後は、自分なりの信念、自己像にふさわしいように行動する傾向がある。

 これを踏まえた上で、2023年現在、65歳の人は1958年(昭和33年)生まれである。85歳の人だと、1938年(昭和13年)生まれである。そこからざっくり計算して、今の高齢者の人達は、大体1958年~1978年頃を青年期として過ごしている。

 この当時の日本はというと、従来の家父長制がまだ強い価値観であると同時に、高度経済成長期とほぼ重なる時期だ。要は、幸せに生きるための一本のわかりやすい指標と価値観があり、それに従って生きてきた世代の人達が、今の高齢者なのである。その指標とは、良い会社に入って働き続け(男性)、結婚して家庭に入り(女性)、子育てを終えて定年を迎えたら年金でのんびり暮らすというものである。

 しかし、ここ30数年余りで状況は一変する。(というか、予測できたことなのだが)バブルは崩壊し、経済は低迷し、ITなどの一部の技術が飛躍的に進み、労働、教育、人権、ジェンダー視点などにおいて、価値観は大きく様変わりした。

 

 このように激変した現代を生き抜くには、オレは次の三点が特に重要だと考えている。

①情報の取捨選択力

②自己プロデュース力

③周囲の変化を自然に受け入れる力

 これは、子どもから高齢者まで誰でも、無意識のうちに自然に求められているといっていいだろう。日々目の前の仕事をして、家事をして、子育てをして過ごしていれば良かった昭和の時代とはまるっきり違うのである。おそらく、かなりの数の高齢者が現代の生きにくさを感じているはずだ。

 人間はいつまでも若いわけではない。いずれ誰でも高齢者になる。今の高齢者が置かれている状況、生きてきた時代の変遷を少しでも知っておけば、人見る目、接し方も、少しずつ良い方向に変わっていくだろう。

(作・イキルちえ)

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