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マッチングアプリの「会うのは仲良くなってからにしたい」という言葉の意味と影響

 さて、みんなはマッチングアプリで「会うのは仲良くなってからにしたい」と言われたことはあるだろうか?今日の記事は、マッチングアプリにおける、やや目立ちにくい側面をピックアップしてお届けする内容である。よかったら最後まで読んでくれ。

 

 恋愛や婚活などで使われるマッチングアプリだが、多くのアプリでは、男女がマッチング後にメッセージをやり取りした後に実際に会う段取りになっている。また、事前に掲載しているプロフィール欄には、名前、居住地などの情報の他、異性に伝えたい内容をアピール文として掲載できるようになっている。

 こういった場で、(特に女性利用者が)「会うのは仲良くなってからにしたい」といった内容を、かなり多くの人が記載しているのを読者のみんなはご存じだろうか。この記事では、この「会うのは仲良くなってからにしたい」という言葉の意味と影響について深掘りしていく。

 女性が使うこの言葉には、主に二つの意味がある。一つは、「相手男性は危険がなく、安心して会える人かどうかを見極めるために一定の時間を設けたい」というもの。これは女性側としては当然の防衛本能といえるだろう。もう一つの理由としては、「できるだけ高スペックで自分好みの相手とだけ会うための時間稼ぎ」というものもある。(マッチングアプリは複数の人と同時進行でやり取りができるので、一人をキープしつつ、もっと良い人とマッチングしたらその人とだけ会うといったことができてしまう)その他細かい理由はあるにせよ、本質的にはこの二つに絞られる。

 

 次に、「会うのは仲良くなってから」という言葉を、受ける側の心理状況として分析してみよう。これは実は、かなり厄介な状況を引き起こす側面もある。

 基本として、人間は“困難な状況がいつ改善するのかわからない”という状態は、大きなストレスを引き起こす。わかりやすい例としては、災害で被災した後に、「もうすぐ助けが来ますよ」と言われたとする。次の日も、また次の日もずーっと、「もうすぐ助けが来ますよ」と言われたとする。それが何日も続くと、「もうすぐっていつだよ!」と、誰でも怒りの声をあげる程に追い詰められてしまうだろう。

(参考までに以下リンクは、白血病に罹ったノザキさんという方が闘病記を綴っているnoteの記事であるが、「いつ治るのかわからない」という気持ちとの闘いが非常にリアルに描かれている。素晴らしい記事なので、よかったら読んでみてくれ。)

<参照元:https://note.com/_nozaki/all>

 

 そしてもう一つの問題点を挙げよう。

 それは、「仲良くなれました、会いましょう」という基準と到達点が、極めて曖昧であるということだ。曖昧であると同時に、本質的には「会うのは仲良くなってから」と記載している本人が、会う気にならなければ何も事態は変わらないので、決定権は記載している(多くは女性側)本人にあるといってもよいだろう。

 これはどうにもならないことではあるのだが、相手が決定権を持っていることに対して立ち向かっていくと言うのは、かなりの労力を伴う。男性のやる気を削ぎ、恋愛の成就に至るまでのハードルを異様に高くしているといってもよいだろう。

 こういった構図ができてしまうと、もう男女対等な立場とは言えない。現在、マッチングアプリが多くの男女の出会いの手助けになっておらず、トラブルが続出しているのは、こういった影響もある。

 

 まとめに向けて、有名な「メラビアンの法則」を元に、大事なことを付け加えておこう。

 実際の所、「会うのは仲良くなってから」「仲良くなれた」という前置きをして、初対面の人と会うことは、全くといっていいほど意味がない。なぜなら、人が人と対面した時に、相手の何を見て情報を得ているかというと、「視覚情報」が55%(主に顔)、「聴覚情報」が38%、「話の内容」が7%と言われている。これがメラビアンの法則だ。

判断時間は約3秒で、約93%(視覚、聴覚)が直接対面しなければわからない情報なのだ。さらに、人それぞれが持っている雰囲気も、お互い仲良くなるために非常に重要な要素と言われており、これも直接対面しなければわからない。

 つまり、マッチングアプリで直接会う前にメッセージであーだこーだやり取りしても、実はほとんどムダであり、相手のことなんかわかりはしないのである。メッセージのやり取りでは良い感じだったのに、実際会ってみたら全然印象と違ったなんてのは、あって当たり前である。

 しかし、マッチングアプリをはじめ、現代のコミュニケーションのスタイルを考えれば、これは逃れられない運命かもしれない。男女共安全に会うことができて、対面で話ができるまでスムーズな支援をするマッチングアプリを開発する人がいたら、大ヒットかつ男女の出会いの促進に繋がるかもしれない。

(作・イキルちえ)

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<この記事は、2025年10月13日に加筆修正しています>