さて、みんなは人前で話をする時に、どんなことに気をつけているだろうか。今日の記事は、とあるエピソードを紹介した上で、“セクハラ”“男女の争い”に関するテーマについて記述する。
セクハラとは、性的な言動を行うことで、相手に不快感を生じさせたり不利益をもたらす行為のことである。そして、男女の争いは日々どこでも巻き起こっている。どちらも無くしていくことが望ましいものだ。セクハラや男女の争いがなぜ起こるのかという原因は様々だが、これから紹介するエピソードのようなものはまだ根深く社会に残存しており、大きな影響を与えていると思われる。それでは、以下エピソードだ。
ここはとある大学の教室。60代頃の男性教員が講義を行っており、30名程度の学生が参加していた。学生は10~30代の若い年代がほとんどで、男女比は半々程度である。学生はノートを取りながら真剣に教員の話に耳を傾けており、講義はスムーズに進行していた。
講義の半ば、戦後から昭和の時代にかけての社会状況に関わる話になり、教員の話は続く。
「戦争が終結した後、こういうことが起こり、少しずつ復興が進んでいったわけですね。そして〇〇などがあり、高度経済成長期に入ります。それから医療や栄養面も飛躍的に向上していきます。現代こそ豊かな食生活が実現していて、栄養失調なんかはまず起こらないですし、体格も昔の人に比べて向上していますけど、私が学生の時代は、同世代の女子はほとんどみんな、おっぱいもぺったんこだったんですよ。そして・・・」
(補足:このエピソードは、当ブログ作者のオレもこの場にいて実際の状況を見ていたことを付け加えておく)
この教員の講義内容を読んで、読者のみんなはどう思っただろうか。おそらく、かなりの人が「おっぱいもぺったんこ」という表現に、違和感や嫌悪感を示すのではないかと思われる。実際、この発言が出た瞬間に教室の空気は緩やかな冷たい空気が走ったような雰囲気になった。
まず、この場面そのものを簡単に分析する。
教員の発言は、昭和の時代の社会状況を簡潔に説明している場面であり、栄養面と人間の体格に関することを説明している。それに関連する例として、「その世代の女子はおっぱいもぺったんこ」という発言に至ったものだ。
しかし、これは明らかにふさわしくない発言だといえるだろう。性別を指定して、その性的特徴に直結するような例えは、人を不快な気分にさせるからだ。その世代の女子の胸の成長がそのような事実ではあるものの、「わざわざその例を用いる必要があるのか」「他の例えができるのではないか」という指摘は充分考えられる。
そしてこの発言は、大学の講義の場だったという点もポイントである。ここで一つ、想定しやすい別場面がある。これが例えば、以下のような仲間内同士の居酒屋などで会話している場面だったらどうだろうか。
「昔は今みたいに美味しい食事ってあんまりなかったよね」
「そうだよね。美味しいもの食べられるようになったよね。栄養も取れるようになった影響らしいけど、昔の女の子って、今と違っておっぱいぺったんこの子ばっかりだったよね」
このような場面だったら、大抵は問題にする必要はないといえるだろう。しかし、大学の講義であれば不特定多数の学生が受講しているので、その場にふさわしい言葉選びが求められる。要はTPOに関わる部分だ。
さらに、この授業内容のテーマ全体から見て、昭和の時代の栄養や体格に関わる内容はほんの一部分に過ぎないものであったため、ごく数秒のうちに教員本人が「その場で思いついたごく簡単な例えでさらっと説明しただけ」といったことも考えられる。
ここからもう少し深掘りしていこう。
おそらく過去数十年前から、日本中の大学などで似たような場面は多々起こっていることは推測できる。その積み重ねで、数多くの女性が不快な気持ちを感じてきたことだろう。その証は、多くの女性と話をする機会を持ったり、ネット上の情報などでも容易にわかるものである。
そして数十年前は、今回取り上げたような発言があらゆる場面で平然と行われていたものが、社会の進化と共に、ハラスメント防止やTPOが確立して改善されてきたものだ。
塵も積もれば山となるという言葉が表す通り、積み重ねの影響というものは想像以上に大きい。誰でも不快な思いなど感じたくないし、セクハラなど受けたくない。そして、過去から数十年かけて、女性が受け続けてきた不快の歴史が、今まさに大きく表出されている。あらゆる言動がセクハラだと騒がれ、どんな些細なことも男女の争いとして勃発する。
まだあと数年は、これらの積み重ねの影響もしばらく続くだろう。なぜなら、今60代以降の世代の男性は特に、「性別を指定して、その性的特徴に直結するような例え」を発言しても許される時代を長く生きてきたからだ。
しかし、どんな発言をしたら相手を傷つけるのか、どんなコミュニケーションが相手と良い関係を築けるのかという形も、現代人は少しずつ確立することが出来始めている。
「昔はこれ位の発言は許されたのに、今はすぐにセクハラやパワハラなどと騒がれる。何でも言いにくくなってやりづらい」
「あの発言も、この発言も気に食わない。不快だ。やめろ」
このようなことばかり押し通すのは、決して良い関係性は築けない。今起こっている争いは、過去のどんな出来事・理由で起こっているのかを理解した上で、相手の立場や状況をよく見た上でコミュニケーションを取っていけば、必ず良い人間関係は築かれる。
(作・イキルちえ)
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