さて、みんなは客観的に見て異常であることにどれだけ気付くことができるだろうか。今日の記事は、結婚後に妻が子どもを連れ去って夫から引き離す行為の【実子連れ去り】【実子誘拐】を中心に展開していく内容である。
このテーマは、現在の日本社会で結婚や婚活をする際に見落としやすい「穴」であり、報道されることも少ない。しかし、結婚する人は(特に男性は)必ず知っておくべき内容であり、人権問題や少子化も関わってくるものだ。記事の途中では、日本では公開がされていない興味深い映画の紹介もしているので、是非最後まで読んでくれ。
1)男性が結婚したがらないのは、地雷むき出しのリスクが放置されているから
現在日本では少子化が加速度的に進んでおり、大きな社会問題になっている。若者が結婚したがらない理由は複数あるが、特に男性は結婚を避ける傾向は顕著である。
表面的な報道では、「金銭面の不安」「自分の時間がなくなること」「趣味が充実していて一人で生きていけるから」などの理由が挙がることが多いが、もちろんこれだけで説明が付くものではない。日本の結婚事情は、男性から見ると“地雷むき出しのリスク”が放置されている現状がある。そのうちの一つが、『一生懸命子どもを育てても、その子どもが突然消えるかもしれない』という地雷だ。
〔具体例については相当な数があり、ネット検索などでもすぐにわかるので、ここでの実例紹介は省略する〕
まずは、あらためて結婚生活とは何かということをおさらいしておこう。これは難しく考える必要もなく、“夫婦で協力して生活を築く”ことだ。子どもがいるなら、夫婦で協力して子どもを育てることである。
その最中に、意見が食い違ったり、衝突することもあるだろう。人間同士なのだから、それは自然なことだ。夫婦の生活は、なかなか他人には伝えづらい事情ということも得てして起こる。意見が食い違ったら、お互い歩み寄り、話し合いをして解決していくことは基本だ。
妻、子どもに対して、明らかに横暴な態度(暴力など)を取り続け、損害を与えたのなら、それは庇う余地はない。そのような場合は、母子にとって夫から離れて避難することが必要になるので、子どもの連れ去り、誘拐という言葉は適切ではない。
しかし、実情はそうではない。夫が、妻や子どもに対してDV(暴力)を行ったかのようにでっち上げ、司法の場でも虚偽の主張を行い、子どもを連れ去ってしまうケースが多発していることが明らかになっている。(国内への連れ去り、国外への連れ去り両方含む)これは、健全な夫婦関係の視点で考えれば異常なことである。
近年ニュース等でも報道されており、元卓球選手の福原愛が、裁判所命令に背いて子どもを中国に連れ去った件などはご存じの方も多いだろう。つまり結婚適齢期の一般男性にとって、「地雷むき出しのリスクが放置されている」という事実が、結婚を避ける要因になっていることが重要なポイントとなる。
2)【実子連れ去り】【実子誘拐】が異常事態だとわかる例
ここから先は、【実子連れ去り】【実子誘拐】が、客観的にいかに問題視されているかという情報をいくつか紹介することにしよう。これを知ることで、「異常なことが放置されていることに気付く大切さ」「日本の常識は世界の非常識」といった点に気付くことができると思う。
①日本で実子連れ去りが起きた場合、連れ去った側の親には罰則がないが、他国のほとんどは重大な犯罪として裁かれる。以下はそのいくつかの例である。
・アメリカ 罰金及び3年以下の禁錮刑(またはその併科)※州により異なる。
<参照元:各国における国際的な子の連れ去りに関する法制度・米国編(外務省)>
・ドイツ 最大10年の自由刑(懲役刑)または罰金刑。
<参照元: Gesetze im Internet(ドイツ連邦司法省・連邦消費者保護省公式サイト)>
・オーストラリア 最大3年の懲役刑
<参照元:親権・監護権に関するオーストラリア法令の調査報告書(外務省)>
②米国のクリス・スミス上院議員は、米国から日本に誘拐された500人の子ども達の支援について、国務長官及び大統領に問題に取り組むよう要請。
<参照元:スミス議員からブリンケン国務長官への実子誘拐に関する質疑(邦訳)〔Children's RightsWatch Japan〕>
③イギリスの外務・英連邦省が、日本の子ども連れ去りについて注意喚起。
<参照元:イギリス政府(UK Government)WEBサイト>
④ハーグ条約についての概要
<参照元:ハーグ条約と国内実施法の概要(外務省WEBサイト)>
※ハーグ条約の正式名称は《国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約》。外国に子どもが不法に連れ去られたり、不法に留め置かれた場合の子どもの返還手続や面会交流に関して定めているもの。日本も2014年に締結している。
⑤2024年にフランスで公開された、日本の実子誘拐をテーマにした映画『また君にあえるまで Une part manquante』※この映画は日本では未公開(2025年10月時点)
<参照元:映画 また君に会えるまで Une Part Manquante(青い鳥WEBサイト)>
※こちらは映画の内容等をわかりやすく紹介している。
3)結婚後の【実子連れ去り】【実子誘拐】を防ぐためにできること
男性にとっての結婚のリスクのうち、実子連れ去り、実子誘拐というリスクが存在することは変えようがない事実だが、信頼できるパートナーと良い家族関係を築ければ、そのようなことは起きないというのもまた事実である。それに加えて、信頼できるパートナーと結婚生活を送ることは、何物にも代えがたい良さがあるのも事実だ。
そして、「なぜ実子連れ去りや実子誘拐が起こるか」という原因を追究することも、意味があるようでそれほど意味もない。なぜなら、夫婦はちょっとしたボタンの掛け違いで関係性が揺らぐことはいつでも起こり得るし、人間は誰しも何らかの欠陥はある。人間同士の関係で上手くいかない原因をあぶりだそうとすると、お互いの欠陥を責めるだけになりがちだ。これは、何の解決にもならない。
まとめに向けて、『子どもを連れ去りや誘拐をすることもなく、懸命に子育てをしている夫婦はどうしているのか』という視点から、【実子連れ去り】【実子誘拐】を防ぐことを考えていこう。
世の中には、夫婦いつまでも仲良しで、たくましく子育てをしている人がたくさんいる。あるいは、過酷な状況でも、夫婦で力を合わせて乗り越えて生活を営んでいる人もたくさんいる。
これらの人に共通する“大きな力”として、『責任能力』と『覚悟』の二つが挙げられる。
夫と妻、どちらかが『責任能力』と『覚悟』が足りずに決壊すると、【実子連れ去り、実子誘拐、虐待、DV】などの由々しき事態が起こる。大人になり、社会で生きることは、常に一つずつ責任や覚悟を積み上げていくことでもある。その姿勢が、夫婦共に同じ目線で必要なのが結婚生活といえる。
結婚している(あるいはこれから結婚する、結婚したい人含め)読者のみんなのパートナーは、これまで一歩ずつ『責任能力』と『覚悟』を磨いて生きてきただろうか?機会があれば、美味しいハーブティーとチョコレートでも一緒につまみながら聞いてみよう。
そして、現代の婚活のように、外見や年収などの表面的なスペックだけで判断して結婚した場合、相手の『責任能力』と『覚悟』がどの程度あるのかは見落としてしまうものだ。お相手がどんな人生を歩んできたのかをよく聞き、自身も自己開示して、よく話し合っておきたいものである。
傍から見て、“異常なこと”というものが世の中にはある。どうやって物事を「正常」「異常」と判断するのか・・・生きる上で、そういう知恵は必ず養っておきたいものである。
(作・イキルちえ)
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