生きる知恵

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なぜ中年女性は中年男性を攻撃するのか(社会の仕組み・人生設計)

 さて、みんなは「人を攻撃する人」のことをどう思うだろうか。人間社会は常に争い事が絶えないものだが、そんな姿は醜いものだ。そして現代、男女の問題に関しては「中年女性が、中年男性に対して攻撃する」という図式が特に目立つ。今日はこのことを考察した記事である。

 「中年女性が、中年男性に対して攻撃」という事例は、もう普段から山のようにあるのでこの場ではわざわざ例は出さないが、特に男女の問題に関すること(恋愛、婚活、ジャンダーやフェミニズム等)で特に目立つものだ。

 一体、なぜこのような状況が生み出されるのか。これにあたって、まず人間の基本的な欲求や心理傾向というものを押さえておかなければならない。簡単に言うと以下だ。

・お金に困らず良い生活をしたい

・将来の生活に対して不安を感じたくない

・自分の生活に幸福感が感じられないと、他者に対する羨望、嫉妬、憎しみが生じやすくなる。

 こういう気持ちは誰にでもあるものだ。これを踏まえた上で、中年世代の特徴と課題を簡潔に説明する。

 中年(30~50代)は労働においては働き盛りの世代で、結婚すれば、子育てや夫婦関係についても、向き合い葛藤する最盛期にあたる。結婚していない場合は、他者と自分との違いを感じながら、老齢期に向けて自分なりの生き方を確立しなければならない時期になる。このように、中年期は人生の課題が複数大きく関わってくるため、他者との関係性は、自己に大きな揺らぎを与えてくるものである。

 それでも、周囲の人と良い関係を築き、自分なりの人生の道しるべを作ることができたなら、中年期になっても人に対して攻撃的になることは少ない。

 しかし、現代は“自分なりの人生の道しるべを作る”というのは、なかなか難しいものがある。なぜなら、社会システムの大きな枠で見れば、『支え合い・共助』の概念が崩壊しつつあるからだ。結婚が難しいというのはその筆頭現象だろう。この他にも、年金制度が困難な見通しの中で、私的年金などの方法で自力で資産形成を行うことが推進されているし、従来の村社会の流れを汲んだ地域の繋がりが希薄になっていることも挙げられる。(こういう、元々あった『支え合い・共助』は減少している中、より少数で密な友人関係は重要視されるようにもなっている)

 

 こういった状況なので、これからの世の中、明るい見通しで生きていける人の特徴というのは主に以下の二つだ。

①衣食住、収入(仕事)、健康管理等、自分で自分の面倒を見ることができる人

②過去に苦労して生きてきて、それを糧にしてスキルを身に付け、将来訪れる困難にも立ち向かえる準備ができている人

 実は、「中年女性が、中年男性に対して攻撃する」という現象が起こるヒントが、ここに隠されている。

 まず、以前の日本社会は、中年女性が一生涯にわたって社会で働き続けるという想定は基本的にされていない。結婚して家庭に入り、地域社会の中で子育てをしていくという生き方が普遍的なものだった。この考え方は現代でも強固に根付いているわけだが、これはあくまでも、“夫の稼ぎ”“地域の支え”といった、『支え合い・共助』が前提で成り立っていたものだ。しかし現代は、既婚でも未婚でも、多方面の自己管理は求められるし、一定以上の労働は必要だ。

 一つここで一例を紹介しよう。とあるX(旧ツイッター)の書き込みなのだが、これは中年期の女性の結婚生活が、周囲に支えてもらい、共助が前提であるという価値観がよくわかる例だ。(注:この記事公開時点ではこのポストは削除されているので、リンクをタップしても閲覧はできない)

『婚活してて思ってたこと。このご時世共働きは当たり前だと思うんだけど、結婚したら固定費(家賃、光熱費、食費、生活用品)は旦那さんが払うのが当たり前だと思ってた。みんな違う?

妊娠出産産休中は働けなくなるわけで、女性の稼ぎがないとそもそも生活できないのは結婚するに値してなくない?』

<参照元:https://twitter.com/konkatsugirl_/status/1781877503763902893

 

 男性の多くは、幼い子どもの頃から『一人でしっかりやれ!』という厳しい風当たりに、慣れている。しかし、女性の多くはそうではない。この辺りは個人差もかなり影響するが、基本的な性差という部分では、この差は歴然としている。

 自分なりの人生の道しるべがなく、孤独なのは誰もがイヤなものだが、それでも、男性の多くは孤独に強く、働き続けることに慣れている。一人で没頭できる多趣味な人も多い。

 しかし女性の場合は、“生涯まで働き続ける”という概念自体、過去にはなかったものだ。これはまさに、「女性も男性と同じように、『一人でしっかりやれ!』という土俵で生きていけ」というメッセージの時代変容とも言える。

 さらに、『支え合い・共助』が機能している社会は非常にありがたいものであり、その恩恵が少ない人生がとても大変なのを、実は女性自身も心の中ではわかっている人が多数だ。さらに冒頭で述べたように、他者に対する羨望、嫉妬、憎しみという気持ちは誰にでもある。

 こういった状況が、同世代の中年男性に対して難癖をつけて攻撃する“悪の温床”となっている。同世代、同時進行で人生を歩んでいる異性が、先に『一人でしっかりやれ!』の扱いに慣れた上で、『支え合い・共助』が減少しても生きていける歩みを進めているからだ。(具体的な攻撃例としては、「ダサイ」「キモイ」「低年収」「奢らないのはケチ」「若い女ばかり追いかけるな」などなど、低俗で無残な言葉が平気で使われる)

 男性側としては、自分に何も非がないなら全く気にかける必要はない。人が怒りや憎しみをぶつけてくるのには、必ず理由がある。その理由、関連する社会状況などを知っていれば、冷静に対処もできるようになってくる。

 

 最後に、作者のオレ自身の個人的な一言を付けて終えよう。

 オレは個人的には、現代のような『支え合い・共助』が減少した社会が望ましいとは思わない。ただ、世の中の各地には、新しい形の支え合いや共助を確立しようと模索している人達がたくさんいる。そしてオレ達人間は、自らの感情に振り回されず、もっと賢くならなければならないだろう。

(作・イキルちえ)

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