さて、みんなは今現在、結婚して子どもが欲しいと思うだろうか。それとも、今は独身でいいけど将来的には子どもが欲しいと思うだろうか。あるいは、全く興味がないだろうか。今日の記事は、昨今技術が飛躍的に進んでいる卵子凍結(体外受精)や不妊治療などに関する内容である。これは、婚活、結婚、夫婦関係に加えて、命の大切さ、人間としての尊厳に至るまで幅広く重要なことに関わる。終盤には対策方法も記述しているので、是非最後まで読んでくれ。
近年は結婚することの難易度が高くなっており、子どもを作り、育てることも大変な世の中である。そこで、卵子凍結や不妊治療などが注目を集めている。人生は人それぞれの局面が訪れるものであり、子どもが欲しい人が誰でもすんなり授かるほど単純なものではない。そこで、子どもを授かるチャンスが増えることは喜ばしく歓迎されることである。
しかし、卵子凍結や不妊治療は慎重に考えなければならない点がたくさんある。通常の形による妊娠、出産するのと比較すると、あらゆる面で別物なのは言うまでもない。卵子凍結(体外受精)の後の出産だと、それなりに年齢を重ねての出産になるケースが多くなるが、出産と子育てにはとても体力を使う。子どもが2人以上いて、20代、30代の両方で出産経験のある人はわかると思うが、20代よりも30代の方がはるかに体力の消耗が大きい。さらに、高額な費用がかかるのは言うまでもないだろう。
だが・・・これだけではない。実際には、もっと考えなければならないこと、問題点が潜んでいる。それは、「いつでも大丈夫」という心理状態が招く怖さだ。
まず、例を挙げよう。以下二つを読み比べてみてほしい。
(1)Aさんは賃貸アパートに住んでいたが、引っ越すことになった。だが、日々の生活は忙しく、引っ越しには時間がかかりそうだ。するとアパートの大家さんがやってきて、Aさんにこう言った。
「忙しいだろうから、退去はいつでもいいよ」
(2) Bさんは賃貸アパートに住んでいたが、引っ越すことになった。だが、日々の生活は忙しく、引っ越しには時間がかかりそうだ。するとアパートの大家さんがやってきて、Bさんにこう言った。
「契約は3月までなんだから、ちゃんとそれまでに退去してくださいよ」
さて、スムーズに引っ越しをして新たな生活を始められるのは、AさんとBさんのどちらだろうか?
卵子凍結とは、簡単にいえば若い時の卵子を保管しておくことで、「後でいつでも出産できる」という保険をかけるようなものだ。しかし、人間を始めとしたあらゆる生命体、細胞は、時間が経てば必ず劣化する。卵子だけではなく精子も同様だ。時間が経ち、年齢を重ねれば、妊娠と出産に苦労するのは歴然としている。
(※ここでは医学的な詳細を述べるのは控えるが、読者のみんなも調べればすぐにわかることと思う)
卵子を凍結したことで、「これでいつでも妊娠できるから大丈夫」という心理状態は、おそらくほとんどの人が陥るものだ。これが問題なのである。「いつでも大丈夫」という心の状態は、よほど高い意識を持っていないと、次の段階に進む行動を起こすことが難しくなる。これは人間なら誰もが経験することなので、必ず覚えておきたい。
もう一つ大事なことを付け加える。この記事公開の2025年現在、日本では代理出産は法で禁止されている。しかし将来的には、ロボットなどを活用した母体以外を用いた出産が認められ、普及していってもおかしくはない。その時に、必ず念頭に置いておきたいことがある。
それは、子どもの福利(幸せ)についての視点だ。子どもは、産んで終わりではない。産んでからが始まりだ。子どもを作る際には、子どもが幸せに育つように大人が準備、保護、養育することを考えて行うのは基本倫理である。
もし将来、代理出産のような形が普及したとしたら、「母本人から生まれた子ども」「母以外の人から生まれた子ども」の二通りの子どもが存在することになる。これは、子ども当人の尊厳にも関わり、一歩間違えるといじめや差別の原因などに繋がる恐れもある。このことは必ず覚えておきたい。
それでは最後に。卵子凍結(体外受精)や不妊治療を、どう考えたらよいだろうか。
これらのことは、基本的には望む本人が自主的にやることなので、根本は他人が口出しをすることではない。望むような結果が得られなくても、本人が納得するしかない。
しかしこの問題を考えるにあたっては、生物としての基本に立ち返る必要がある。それは、(結婚、子どもを望む人は)ある程度若いうちに結婚し、子どもを作ることを基本と考えて行動することだ。なぜなら、子どもを出産し、育てることは、年を取れば取るほど大変さが増すからである。人生は後で取返しがきくこともたくさんあるが、取り返すのが難しいこともある。もっともこれは、本人だけでなく、国や周囲の支援も必要不可欠だ。
だからこそ、人生設計を構築する力を身に付けることは大切だし、良い人間関係を身に付けることは、恋愛や結婚や子どもを授かる事に直結する。「卵子凍結や不妊治療があるから~いつでも大丈夫」このような心理状態に陥る前に、まずは自分の生活の中で出会う異性を大切にして、信頼関係を育むこと。これが最も近道である。
(作・イキルちえ)
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