さて、みんなは普段の生活の人間関係で疲れることはどの程度あるだろうか。人間が社会で生きる以上、人間関係が発生するのは当たり前であり、そのことで悩む人は多いことだろう。時には、メンタルヘルスやいじめなどの深刻な問題に陥ることもある。
今日の記事は、そんな人間関係をわかりやすく簡潔に分類して、いかに心地良い関係性を構築するかという方向性を見出す内容である。この手の話は一見複雑そうなのだが、実はそんなことはない。なぜなら、人それぞれの考えと感性があるにしても、“心地良い人間関係を感じるポイント”というのは多くの人に共通しているからだ。内容的には、子どもから大人まで、学校、職場、その他の様々なグループ・集団においても共通で考えられるようにまとめている。
まず前提を挙げておこう。
学校・職場等のグループに所属している場合、どんな言動・振る舞いが周囲に好まれるのか。(言い換えると、ある集団に所属している際、どんな振る舞いをしていれば疲れないのか)
・そのグループの力を高める言動
・別のグループに対して優位に立てる力を提供できる
この基本の二点は必ず知っておきたい。これは実に様々な例があり、中には社会的には好ましくないとされるような振る舞いも含まれる。
例えば、グループ内の人で落ち込んでいる人はいないか、常に気にかけて優しく接することができる人は、そのグループ内で好まれる存在になるだろう。別の例では、いくつかのグループ同士で争い事をしていたとして、別のグループを打ち負かす攻撃力を持って成果を挙げれば、その人はそのグループ内で好まれる存在になるだろう。
次に、「心地良い人間関係」「心地良くない・疲れる人間関係」とはどういうものかを以下に記載し、その後に項目ごとに解説する。
※心地良い人間関係
①同じ意見・考えをする人がいる
②同じ好みを持つ人がいる
③同じ方向性を持っている人がいる
④一緒にいても苦痛を感じない雰囲気の人がいる
<A>自分に対してグループ内の人が関心を持ってくれている。また、過度に干渉してこない。(この感覚は非常に個人差がある)
<B>自分の存在が尊重されていると感じることができる。
(この感覚は、時間をかけて良い人間関係を継続した際の“結果”として現われるもの)
※心地良くない・疲れる人間関係
①異なる意見・考えをする人がいる
②異なる好みを持つ人がいる
③異なる方向性を持っている人がいる
④一緒にいるだけで苦痛を感じるような雰囲気の人がいる
⑤上下関係(上司・部下など)が発生する関係性で自分が下の場合
<A>自分に対してグループ内の人が無関心。または、過度に干渉してくる。
(この感覚は非常に個人差がある)
<B>自分の存在が尊重されていないと感じる。
(この感覚は、悪い人間関係を継続してしまった際の“負の結果”として現われるもの)
⑥グループ内の他の人と比べて、自分だけが負荷を背負っている状態
⑦グループ内の他の人が、自分に対して攻撃的
※解説、①~⑤
世の中には、「自分とは考え方が違う」と感じるだけで、居心地が悪いと感じてしまい、その場の人間関係から離れたり、その対象を攻撃したりする人がそれなりにいる。これは、その行動が正解のこともあるかもしれないが、少々浅はかともいえる。何でも好みが一致する人ばかりではないし、好みが一致しなくても良い人間関係は充分築けるからだ。そのヒントは、記事冒頭の前提に挙げた『グループ内での振る舞い』にある。
④の「一緒にいるだけで苦痛を感じるか感じないか」これは、一般的に「相性の良し悪し」「生理的に受け付けない」などと表現されたりする。これはどうしようもないことも多いが、しかし、一緒にいるだけで苦痛を感じるような人というのは、ごく少数である。
⑤の上下関係について。この関係性においては、立場が下の人は「負荷」、立場が上の人は「責任」を背負っている。上の人だけが楽というわけではないことは知っておきたい。ただし!立場が上なことを利用してパワハラやセクハラに及ぶようなことがあれば当然問題外なので、しかるべき相談先に駆け込んで、一刻も早くこの人間関係から離れるべきなのは言うまでもない。
※解説、<A><B>
(関心度、干渉度、自分は尊重されているか)
人が、自分にどの程度関心を持ってほしいか(承認欲求)、お互いの距離感というのは、人それぞれ違う。相手にどこまで踏み込むかは、時間をかけていけば少しずつわかる。
そして、これは是非覚えておこう。
「何かこのクラス、居心地良くないし、自分が尊重されていないと感じるんです」
他者にこのように言っても、これは大抵正確に伝わらず、余計にこじらせる原因になることが多い。なぜなら、人間関係の感覚は、時間をかけて成熟した果物と同じようなものだからだ。その解決のヒントは、次の⑥⑦が大きく関わる。
※解説、⑥⑦
(グループ内の他の人と比べて、自分だけが負荷を背負っていたり、他の人が自分に対して攻撃的だったら)
これらが最も問題になる。グループの種類、質によっても異なるので、よく冷静に考えていきたいのだが、以下のような視点で考えてみよう。
・例えば仕事上で、自分だけが不当に大量のタスクを背負わされていないか?
・誹謗中傷といえる言葉を人から言われていないか?(バカ、無能、男or女なんだからこうしろ等)
・周囲の人に考えもせず、無理難題を押し付けていないか?
・誹謗中傷するような言葉を無意識に相手に言っていないか?(バカ、無能、男or女なんだからこうしろ等)
生きている以上、人間関係は必ずある。どうしようもない場合は、その関係性から離れることが最も解決につながる場合は多いが、それが簡単にできない場合も多々ある。(逃げるばかりでは後に同じ失敗を繰り返してしまう場合もよくある)
関係性から離れるのはあくまでも最終手段と考えるとして、最終手段実行の前に、考えられるポイント、できることはたくさんある。今日の記事が、読者のみんなのそんなヒントになれば嬉しく思う。
(作・イキルちえ)
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<参考文献>
デイヴィッド・スローン・ウィルソン著『社会はどう進化するのか』(亜紀書房)