さて、みんなは「性的搾取」「性的消費」という言葉を聞いて、どう思うだろうか。今日は、主にネット上で行われているくだらない争いを、冷静に分析した短めの記事である。さくっと気軽に読めるのでどうぞお気軽に。
日本語は、英語のようにアルファベット単一ではなく、ひらがな、カタカナ、漢字の三種類の文字体系がある。これは日本語の奥深さと美しさを際立たせる特徴で、日本人は誇れる点であろう。ところがこの素晴らしさゆえに、言葉遊びのように、意味がなくくだらない造語も簡単にできてしまう特徴もある。
「性的搾取」あるいは「性的消費」という言葉は、世間の一部の人が、主にネット上で騒いでいる時に時々出てくる言葉である。具体的には、“ツイフェミ”などと呼ばれる人達が、「社会で起こっている、主に性に関連する出来事で不快に感じたこと」を糾弾する際に、これらの言葉が使われることが多い。
例えば、以下URLの事例のような場合だ。
<参照元:「性的」と指摘、フェミニスト議連に抗議署名4万件 千葉県警が女性Vチューバー出演の動画削除(東京新聞WEB版)>
世間には様々な価値観を持った人がおり、言語能力、知的レベルも人によって差がある。そして、自分なりに社会に適応して一定以上の知的水準を持っている人は、言葉を正しく使うことができるものだ。
そこで「性的搾取」と「性的消費」の言葉であるが、上記の例やツイフェミ等によって使用される場面では、ほとんど正しく使われていない。「性的搾取」の正しい意味とは、国連が定義している以下のものであり、国連事務総長の告示 (ST/SGB/2003/13)で明文化されている。
『性的な目的での、相手の脆弱性や力関係、信頼関係に基づく地位を濫用する行為あるいはその試み。他人を性的に搾取することによる金銭的、社会的、政治的な利得行為も含むがそれに限られない。』
以下二つのリンクは参考資料である。
<参照元:第86回性的搾取・虐待(SEA)防止の取組み(内閣府)>
<参照元:国連事務総長による「性的搾取および性的虐待からの保護に関する特別措置」についての通達(国際連合)>
世界の各地では、国連PKO要員が派遣先の国に赴いた際、現地の女性に対して、買春、性暴力、性的サービスの強要などを行ってしまうという事例が度々起こっており、そういった(非人道的な)行為を指すのが「性的搾取」の正しい意味である。
続いて「性的消費」だが、この言葉の公式で明確な定義は存在しない。
これらを踏まえれば、記事序盤に挙げた千葉県警の動画の例などは、全く「性的搾取」「性的消費」に当てはまらず、要は“言葉の使い方を間違えている”というだけの話になる。「畑で熊がリンゴを食べている」という場面を指して「瓦屋根の上で少女が編み物をしている」と言っているのと同じだ。そして、「性的搾取」「性的消費」などと騒がれる出来事は、近年特に増加傾向にある。
※AI作成イラスト。上記2枚は果たして同じ言葉で表現できるだろうか?
なぜこのような出来事が起こってしまうのか。実際、女性が人間の歴史上から「搾取、消費」に類似する負の体験が影響していることも推定できるものだが、それ以前に、もっと基本的なことを二点挙げておこう。
一つには、“言語、言葉の質”である。言葉にはそれぞれ定まった意味があり、その意味は、人間の長い歴史をたどって形作られている。しかし言葉というものは、間違った意味でも、使う本人が「これが正しい」と信じ込んでしまえば、人によっては修正がとてつもなく困難になる。(こういった現象は、“認知の歪み”などと表現されたりする)だからこそ、普段から正しい言葉の理解と勉強が大切なのだ。
もう一つは、“被害者意識”である。人間は基本的に、『今自分はどんな感情を持っていて、どんな立場に立っているか』を、自分自身で表明することができる。(これは憲法でも保障されている点だ)その中でも、“被害者意識”というものは、正しい場面では不可欠なものだが、そうでない場面では、相当な厄介者になる。
「被害を受けた」という立場を自己証明すると、自分以外の周囲の人は、主に「加害をした者」「被害から救済する者」という立場に変化する。こうなると、被害を受けたとされる立場は自動的に強化され、『社会的弱者は、最強の強者である』という構図が出来上がる。
言葉を利用したくだらない争いは、これからも世の中で頻発するであろう。性的搾取、性的消費という言葉と遭遇することも、読者のみんなもあるかもしれない。しかし、現実で生きる時には、簡単な道筋は誰にでもわかるようにちゃんと用意されている。
・「性的搾取」「性的消費」などと騒いでいる人と遭遇したら、その人は、普段どんな言葉を発して、何を大切にして生きているのかを見る。(つまり、人を見極める基本中の基本)それで真実がわかる。
・言葉を正しく使う
以上である。
(作・イキルちえ)
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