生きる知恵

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男性は自分からアプローチ必須、女性は待っているだけ(恋愛の中核を探る)

 さて、みんなは今までどんな恋愛をしてきただろうか。その恋愛は、あなたの人生に何をもたらしてきただろうか。

 人間が生きている世界では、昔から多くの人が疑問を持たず、当たり前のように行われてきた出来事、価値観というものが様々にある。例えば、「男の人はズボン、女の人はスカート」「子どもはみんな学校に通う」「大人になったら結婚して家庭を持つ」などだ。しかし社会が成熟してくると、それまで当たり前のように行われてきたことに疑問を呈する声が挙がったり、見直しの必要を迫られたりすることがある。

 今日の記事は、“恋愛はどう始まるのか”という、ある意味恋愛の中核を探る内容である。この内容は、現代ならではの人間関係の問題、少子高齢化、格差やジェンダーとも関連がある。

 話を進めるにあたって、“人はなぜ異性を好きになるのか”という基本点を押さえておこう。この恋愛感情の根源は、異性と親密な仲になって精神的充足感を得た上で、性行為の後に子孫を残したいという本能に起因する。そして恋愛が始まる上では、異性と出会う場と、特定の異性と交際を始めるという二つのきっかけが必要だ。

 そして、“今から交際が始まる”というその瞬間は多くは男性からの声かけで始まってきたのが常だ。告白という形式に則った形だったり、出会った場から1対1のデートに誘ったり等。男性から女性を誘い、女性は誘われるように待っている、そのことを多くの男女が疑問に思うことなく、当たり前のように行われてきた。

 ところが、今この構図は、静かに少しずつ崩れ始めている。

 

 まず、異性と恋人同士になるためにアプローチするということを、もう少し深掘りしてみよう。

「あなたと恋人同士になりたい」「あなたと二人で食事に行きたい」「あなたと二人でゆっくり話す時間がほしい」などの、一歩踏み込んだ関係性を求める場合は、相手の行動領域に一歩踏み込んで言葉を伝える必要がある。そして、そのアプローチ行動は、非常に労力を使うものだ。時間、お金、体力、相手が受け止めやすいように気遣い、気持ちを伝えやすい言葉を慎重に選ぶ。そして、いわばその“愛の告白”は、失敗する確率も非常に高い。失敗した時に、いかに自分の心が傷つかないように守るかということまで、多くの男性は事前に考えるだろう。

 そして、現代は多くの男性が気付いてしまっている・・・。

 何もせずアプローチを待っているだけの女性の立場というものは、非常に楽であることを。なぜなら、アプローチを受けるか受けないかというものは、自分の気分、好み、メリットのみで決めることができる裁量があるからだ。

 

「うちの会社で働きませんか?」とオファーされて、引き受けるかどうかは自分次第。

訪問販売員から「この商品買いませんか?」と言われて、買うかどうかは自分次第。

 関係性としては、これらのものと同じなのである。男性から誘われるために見た目や内面を磨いているという女性側の行動を考慮するとしても、女性に選ばれるために男性も見た目や内面を磨く必要があるので、この点はお互い同じだ。結局アプローチされる側の方が楽だというのは変わらない。

 もう一つ例を挙げてみよう。

 あなたはお腹がすいて、何か食べたいとする。さて、以下のどちらが楽であろうか?

①何もせず数分待っていると、ポンッと目の前に美味しい料理が魔法のように出てきた!

②冷蔵庫から肉、野菜、調味料などを取り出し、包丁で食材を切り、鍋で調理をして、お米も炊いてスープも作って、お皿に盛りつけた。時間は30分かかった。

 当然①の方が楽に決まっている。これほどまでに、待っているだけで済むというのは気持ちが楽なのだ。

 

 交際経験のない人が増加しているのは近年散々報じられているし、「告白してもフラれて傷つくのが怖い」などの声もよく聞かれる。恋人ができたらお金がかかるし、それなら面倒なことをしないで自分のためにお金を使いたいという意見もよく聞かれるものだ。

 これらは確かに主要な原因でもあるが、もっと中核的な要因が複数ある。

 一つには、前述したように「男女平等と言われる社会において、“アプローチ(告白)は男性がすべき”という不公平さを、多くの男性が感じている」ことが挙げられる。

 これに関連して、主体的かつ計画的な人生設計が求められる社会状況も関連していることは看過できない。子どもの頃から一生懸命勉強して、スキル習得から就職、それ以降の人生設計まで多くの自助努力を求められるのが現代だ。コストパフォーマンスが重視される社会において、恋愛のように「相手が著しく有利で、自分があらかじめ不利であること」に自ら飛び込んでいくことを避けようとするのは、もはや必然になる。

 これらに加えて、さらにややこしい問題もある。

 それは、“男性が女性を誘う”という行為が、極めてネガティブな方向に誘導される原因が多数存在することだ。告白が失敗した際のリスク増大(その場の人間関係悪化。SNSで晒される等も含む)、セクハラ扱いされるリスク、個人情報が重視される社会状況などだ。この他に、性行為をする関係になった際のリスクも相当である。2023年7月に施行された不同意性交罪や、「キロク」という性的同意サービスのアプリ誕生については様々な物議を醸したが、これらについてはご存じの人も多数いるだろう。

 

 これらの問題は、いったい何をもたらすのか。非常に深刻なものなのだが、「男女の分断」「少子高齢化」この二つが最たるものだろう。

 男性ばかりが負担を強いられる恋愛の価値観が変わらないまま続くと、恋愛しない男性が増える。異性に興味が向かないので、当然結婚の意思のない男性も増える。そうすると、待っているだけの大半の女性は男性と出会うことができず、恋愛、結婚の機会が無くなっていく。

 この流れは、中学生でもわかるような計算式のように歴然としている。男性に対し恋愛のハードルを上げれば上げるほど、女性の結婚は難しくなっていくのだ。

 まとめに向けて、今回の内容は単純に答えが出せるものではないのだが、一つ、大きなヒントになりそうな指針を一応結論として挙げておきたいと思う。それは、今後は恋愛においても「女性が自ら行動し、どんどんアプローチすること」である。要は、今まで男性がやっていたことを同じようにやるだけだ。

 そして最後におまけを一つ紹介しよう。婚活をしている女性のツイッター(現X)の投稿の一つである。

 内容は典型的なグチなのだが、この中に「告白されても断るのに体力を使う」という言葉がある。自分の気分で相手を選別する「断る」行為より、相手に気を遣ってリスクを背負う「告白」の行為の方がはるかに労力を要するのは、今日の記事でまとめてきた通りである。これはまさに、男女の意識・立場の違いを象徴しており、“恋愛の中核”に関わる部分である。興味があれば以下のリンクからご覧になってくれ。

<参照元:https://x.com/sarychan9119/status/1720421553257709948>

 一つ確実なのは、これからの世の中はおそらく、待っているだけで何でも手に入るような都合の良い状況は訪れないのだ。そのことを、男女で同じように認識し、良い恋愛や結婚をするために、お互いに積極的にアプローチして行動することが標準化されて、初めて前進することだろう。男女間で文句を言い合っているだけでは、何も変わらないし、それはまさに人生の無駄でしかない。

(作・イキルちえ)

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