さて、みんなは婚活を始める前にどんな準備をやっているだろうか。今日は、婚活を始める前にやっておくことを推奨する準備を紹介する。タイトルは男性向けとしてあるが、女性でもできるもので推奨される。なぜタイトルで男性としているかだが、現状の結婚制度と離婚制度は、男性に著しく不利に設計されており、特に離婚後に男性が大きな金銭負担を強いられるケースが多数ある。(婚姻費用、財産分与、養育費、慰謝料等。内訳はケースによる)男女平等の視点を踏まえ、男性が不当に不利益を被らないよう防ぐため、なるべくわかりやすく解説する次第だ。
なお、一連の順序は以下のようになる。
①不受理申出書を役所に申請する
②婚活を始める。婚活時の条件に、お相手と「婚前契約書を交わす」ことを必須とする
③成婚時、二人で婚前契約書を交わす
④婚姻届け提出、結婚
順を追って解説しよう。
①不受理申出書を役所に申請する
不受理申出書とは、本人が窓口に行って届け出たことを確認することができない限り,届出を受理しないよう申出をすることができる制度である。対象となる届け出は、婚姻届、離婚届、養子縁組届、養子離縁届、認知届の五つである。
なぜ不受理申出書の申請が必要なのかというと、現状の婚活は、女性が男性に対して経済的に支えてほしいという側面が非常に強く、結婚に意欲的なのは男性より女性の方が数が多いという現状がある。その上で、婚活をしていてやっかいなトラブルに巻き込まれることも、今後も充分に想定される。そのうちの一つが、『勝手に婚姻届けを出されてしまう』というものである。
「そんなこと普通ないでしょ」と思うだろうか?そう、普通なら起こり得ないことだ。しかしこれは実際に起こった実例があり、2024年4月に、勝手に婚姻届を作って市役所に提出した女が有印私文書偽造などの疑いで逮捕された事件が起こっている。
<参照元:動画で「結婚報告」した女 実は無断で婚姻届提出、市役所が受理(朝日新聞DEGITAL)>
現代の婚活は特に、知り合ってお互いのことをよく知らないまま結婚への話が進むことも多い。結婚相談所やマッチングアプリが出会いの場だとなおさらだ。ふとした行き違いや、相手の悪意ある行動で、まだ結婚への気持ちが固まらないうちに婚姻届けを出されてしまうことも充分考えられるのだ。
不受理申出書を出していない通常の状態だと、本人以外が役所の窓口に行っても婚姻届けは受理されてしまう。一度受理されると、戸籍も新しく更新されてしまい、元に戻すには家庭裁判所で手続きをする必要が生じてしまうのである。事前防衛という意味でも、不受理申出書を申請しておくことを推奨する。
②③婚前契約書
婚前契約書とは、結婚前のカップルが結婚後の約束について取り交わす契約のことである。まだ日本ではあまり浸透しておらず、2016年時点で婚前契約書を作成したカップルは4.7%程といわれている。
記載して契約する具体的な内容としては、家事育児の役割と分担、生活費の負担割合と家計の管理方法、夫婦の財産関係、不貞やDVに対する備え、親族との付き合い方、子どもができた際のDNA検査実施、お互いの確認などが挙げられる。お互いの確認とは、健康状態に関すること、過去の婚姻歴や子どもの有無、仕事や収入、借金に関すること、過去の犯罪歴などを指す。
「子どもができた際のDNA検査実施」について、少し詳しく説明しておこう。
結婚して子どもができた後のトラブルとして、“托卵”が大きな問題となっている。托卵とは、妻が、夫以外の男性との性行為・妊娠によって産まれた子どもを夫婦で育て、その事実を夫に隠している不法行為のことである。托卵は親子全体のうち10%近く存在するといわれ、極めて重大な不法行為、性虐待である。
これは男性(夫)自身で防ぐのは極めて難しく、血縁関係でない子どもであると証明できないと離婚も難しいため、事前対応としてDNA検査は必須だ。婚前契約書には、「子どもが〇〇歳の時にDNA検査を実施し、実子でないことが判明した場合は離婚。その際の財産分与は〇〇とする」等、具体的な内容を盛り込むことを推奨する。(アメリカやカナダでは、遺伝性疾患や先天性疾患の早期検出の目的としてDNA検査が義務化されている)
上記それぞれのことが原因で実際に裁判になった場合、婚前契約書がどこまで効力を持つかはケースバイケースだが、事前対策を何もしないまま泣き寝入りになるよりはるかにマシなのは言うまでもない。作成にあたっては専門の弁護士に相談・依頼するのをお勧めする。
婚前契約書は一見、堅苦しく感じるかもしれない。しかしこれは、結婚生活でお互い話し合いながら決めていくことを書面に残すというもので、内容は全て大切なことだ。もし結婚相手がこれを拒否するというのであれば、「なぜイヤがるのか」を深掘りして話し合い、慎重に判断したい。なぜなら、結婚生活はお互い対等な立場で幸せな生活を築くものであり、契約内容に盛り込む「家事育児の役割と分担、生活費の負担割合と家計の管理方法・・・」などは、基本で必須のものだからだ。これを明文化するのを拒否する理由は、本来はないと考えるべきだ。
一定の大切な知識を身に付け、物事を事前に対策することは生きる上でとても大切だ。今日紹介した不受理申出書と婚前契約書は、夫婦が結婚する際、どちらか一方が不幸にならないよう、幸せな結婚生活を送る上で大切な知恵である。これから婚活をする人は是非参考にしてほしい。
(作・イキルちえ)
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