生きる知恵

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料理ができる子どもを育てる方法

 さて、みんなはどの程度料理ができるだろうか。良い食生活を送っているだろうか。今日の記事は、子どもの教育の中でも、健康管理と生活力に直結する重要度が高い内容だ。“料理ができる”というスキルは、男女共に、どんな生活スタイルでも必須といってもよい重要なものだ。しかし、「どのような経験を積んだら料理ができるようになるのか」ということを本格的に解説している記事は、世の中には以外と少ない。

 この記事は、単に料理レシピを載せているものではなく、教育視点から分析して身に付くように記述している。子どもを持つ親御さん向けの記事ではあるが、子どものいない大人の人にとっても料理ができるようになるためのヒントになると思うので、是非最後まで読んでみてくれ。

 まず一つ前置きをしておこう。世の中には、数多くの料理レシピが存在しており、書籍、ネットのWEB記事、動画で多数紹介されている。そのほとんどは、“一つの料理を作る”という構成になっている。そういうレシピを子どもが見て作るのも、もちろん役に立つことである。

 しかしこの場合は、“その決まった料理を作ることができるようになる”という結果を得られるのみになる。人生数十年、毎日同じものばかり食べる生活は現実的ではないし、一つずつレシピを暗記していくのはかなり大変だ。真に生活に役立つ料理スキルの基礎とは、“一定の食材さえあれば常に食事を準備できる”広水準のスキルと言える。

 

 料理ができる子どもを育てる時に、まず最初にやること。それは、“料理の計算式”の準備だ。

 料理がどういう作業なのかというと、『たくさんの数字や記号を使う算数』と言い換えられる。これは子どもに説明する際にもこういう言い方をすれば伝わりやすい。

 例えば、1+1=2という計算は、答えは2以外には存在しないし、数字以外のものを当てはめて使用することはない。しかし料理の場合は、基本の計算式を元に、数多くの食材・調理方法・調味料を当てはめて使用する。

『トマト+レタス=サラダ』

『トマトをすり潰して煮る+パスタとあえる=トマトパスタ』

『トマトをすり潰して煮る+ハンバーグ=トマトハンバーグ』

 こういったように、形は無限大である。

 そして子どもが物事を理解しやすく、なおかつ実行しやすいようにするために重要なのは、“手順の構造化”である。その構造化によりある計算式を用いるのだが、それは以下である。

『食材』+『調理』+『味付け』=完成

 最初の段階では、この手順を理解させ、この手順に沿って料理を実行できるよう何度もやってみることが大切である。この手順が、料理の流れの基本だ。

 次に、『食材』『調理』『味付け』この3項目にあらかじめ、それぞれ該当する内容をいくつか用意しておく。この計算式と項目内容は、紙に書いて子どもがいつでも見られるように準備しておくことを推奨する。以下は、各項目の初期段階の例だ。

『食材』

鶏もも肉、豚バラ肉、長ネギ、しめじ、トマト、卵、豆腐、米、そば、うどん

『調理』

切る、焼く、煮る、ゆでる、まぜる、電子レンジ

『味付け』

塩、コショウ、しょうゆ、サラダ油、ごま油、酢、味噌、砂糖、みりん、だし

 

 上記は一例なので、いくらでもアレンジして良い。子どもの食の好みによって変えても良いだろう。ただし、低年齢児にはあまり多くし過ぎず、簡単なものから始めると良い。

 大切なのは、『食材』+『調理』+『味付け』=完成の計算式に沿って、様々なパターンを何度もやってみることだ。何度失敗してもかまわない。料理は慣れと経験でいくらでも上達する。そして、料理はアレンジが無限大なので、食材や調理内容は、自然に増やしてさらに高いスキルを身に付けることができるようになっていく。

 例えば初期段階で以下の料理を作ったとする。

『食材』(鶏もも肉)+『調理』(切る、焼く)+『味付け』(塩、コショウ)=焼いた鶏肉完成

 これに慣れて、回数を重ねていく中で、

『食材』(鶏もも肉、長ネギ)+『調理』(切る、焼く)+『味付け』(塩、コショウ、味噌)=焼いた長ネギと鶏肉完成

 このように幅が広がっていく。

『食材』『調理』『味付け』の項目は、慣れてきたらどんどん内容を増やしていく。『味付け』の項目は、いわば調味料を使いこなすというのが主目的である。上記に挙げた塩、コショウ等以外にもたくさんの調味料があるので、子どもが慣れてきたらどんどん増やしていってチャレンジしていきたい。

 子どもは基本的に、自分の力でできた達成感を味わうと、さらに意欲が増してチャレンジできるようになっていく。その土台を大人が用意してあげることはとても大切だ。上手にできた時も、失敗した時も、褒めてあげて、なおかつ次どうしたらよいかということもアドバイスできたら完璧だ。

 

 以上が身に付ける計算式と手順であるが、これ以外にも普段からやっておきたいこととして、子どもをスーパーへの買い物に連れていくことだ。そこで、数多くの食材や調味料を目にすることができる。その積み重ねが、後に自分で『食材』『味付け』の項目に落とし込んで、自分で料理をすることにつながっていく。それなりに凝った料理になってくると、「肉に切れ目を入れる」「下味をつける」「魚の下処理をする」などなど、計算式に収まらない複雑な手順も出てくるが、そういう細かい部分は最初から気にする必要はない。それらはあくまでも応用であり、基本の手順において自分の力で完成までやりきる経験を積むことが大切だ。

 こういった経験を幼少期から積んでいけば、料理ができなくて困る大人に育ってしまうことは、まずない。必ず一生のスキルとして役に立つ。

 それはなぜなのか、あと少し解説しよう。

 上記に挙げた方法は、たいていのどんな場面でも対応できる料理方法だ。家庭の食材というのは、日々常に変化する。今ある食材を踏まえた上で、できる料理を瞬間的に計算して、すぐに作れるように頭の訓練を積み重ねているのがこの記事で紹介している内容だ。一定の水準まで身に付けると、今ある食材を見るだけで、作る料理をあっという間に想像してひらめくことができるようになる。

 料理スキルの土台になるものは、レシピ手順を覚える暗記作業ではない。柔軟な発想力と対応力である。「手順を暗記して複雑な工程をやらなければ」という教育の仕方をすると、教えられる子どもは苦痛に感じてしまう。この点は注意してほしい。料理や食事は楽しくやるものという視点は忘れないでおきたい。

 また世の中には、大人になっても、カレーだけは作れるけど他の料理はほとんど作れないという人などがいたりする。一つのある程度複雑な料理を覚えて作ることだけしかやらないでいると、こういう傾向に陥りがちだ。食事は毎日必要なものなので、こうなると結構困ることになる。

 とはいえ、料理は大人になってもいくらでも身に付けることができるので、料理ができなくて困っていたら、まずは『食材』+『調理』+『味付け』=完成の計算式に、簡単な食材や調理方法を当てはめてやっていくことから実践してほしい。

 以上である。読者のみんなの良い食生活に役立ったらオレも嬉しいかぎりだ。

(作・イキルちえ)

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